菊田 譲

菊田譲氏とカザグルマ

菊田譲氏は兵庫県三田市在住で、鉢植えや地植えなど数多くのクレマチスを育てられ、クレマチスに関して深い知識を有している。なかでもカザグルマに対する思い入れはひときわ強く、長年にわたり真摯に向き合ってこられました。

ご自宅の庭には、学生時代に東京・小金井の下宿先から譲り受けたというカザグルマが植えられており、60年以上を経た現在でも毎年多くの花を咲かせている。さらに、その株元では実生のカザグルマが自然に発芽し、生育しています。

三田市に就職されて間もない頃、通勤途中の旧JR福知山線の車窓から白いカザグルマが咲いているのを見つけたことが、野生のカザグルマ調査の出発点となった。その場所を探し当てたのをきっかけに、勤務地近郊である三田市や宝塚市を中心に調査を進め、20か所以上の自生地を確認している。その後も活動は広がり、全国各地のカザグルマ自生地を訪ね、その生態について調査を継続して行ってきた。これらの成果は、日本クレマチス協会会誌などにも寄稿されています。

菊田譲氏は日本クレマチス協会の会員であると同時に、関西クレマチス協会の発足にも尽力され、会長や名誉会長を歴任されました。

カザグルマ 三田市産

関西クレマチス協会の総会や展示会では、会員に向けてカザグルマの解説を行うほか、各地の自生地を巡る見学会の案内役も務めた。とくに兵庫県三田市周辺を中心とした自生地見学会は10年以上にわたり継続されており、これまでに兵庫県三田市・宝塚市・小野市、大阪府能勢町、奈良県大宇陀市、高知県、岐阜県岐阜市・中津川市などを訪れています。

また、花友との交流を通じて全国からカザグルマに関する情報を集め、それらを基に、前述の地域にとどまらず、岩手県、千葉県、栃木県など全国各地の自生地を実際に訪問しました。

カザグルマ 三田市産

カザグルマ 大阪府産

カザグルマ 岡山県産


発芽実験の研究

1998年、兵庫県三木市産のカザグルマの種子を入手したことをきっかけに、各地のカザグルマ種子を用いた発芽実験を開始した。温度と発芽率の関係、ジベレリン処理による発芽促進の効果などについて検証を行い、その結果を日本クレマチス協会会誌に報告しています。

なかでも特徴的なのは、種子の種皮を取り除いて行った発芽実験である。この方法では発芽率が明らかに向上することが確認され、種皮に発芽抑制物質が含まれている可能性を示唆する結果が得られました。

さらに、三田市の自生地で採取した種子から育成した実生をもとにした「カザグルマ 三田市産」は、多くのクレマチス愛好家に配布され、現在も各地で大切に育てられています。

記:小西 隆一